地球の半分程度の大きさしかなく、太陽系惑星で2番目に小さい惑星である、火星。
その小ささに反して、火星は、古くから、男性性や戦い、情熱の象徴とされてきました。
理由は、その赤さにあります。
地球から見ると、赤黒く光り輝いているように見える火星に、人々は戦火や血を重ね合わせました。
火星の色が戦火や血を想像させるということから、はるか昔から現代まで、火星は「戦いの神」「怒りの神」「男性の神」の象徴となっています。
最近では、地球の移住先として候補に挙げられる火星ですが、そもそも火星ってどんな惑星なのでしょうか?
この記事を通して、火星の特徴をざっくりと掴んでみましょう♪
火星の特徴
見た目
火星は、惑星なので、自ら光を発することはできません。
太陽の光を反射して輝きます。
太陽の光に照らされた火星は、地球から見ると赤く黒く光って見えます。
これは、火星表面の岩石や砂が、赤サビを多く含んでいるため、このように見えるのです。
赤さもあってか、夜空の火星は、金色に光り輝く金星と比べると、だいぶ暗く感じます。
天体の明るさは、「等級」という単位を使って表します。
以下に、天体の等級をまとめます。
天体 | 見かけの等級(最大の明るさ) |
太陽 | -26.7 |
月 | -12.7 |
水星 | -2.4 |
金星 | -4.7 |
火星 | -3.0 |
木星 | -2.9 |
土星 | -0.4 |
天王星 | +5.5 |
海王星 | +7.9 |
冥王星 | +13.7 |
等級の数値が小さくなるほど明るい天体、大きくなるほど暗い天体となります。
大きさ・重さ
火星の直径は、地球の約0.53倍。
重さは、地球の約1/10しかありません。
火星は、太陽系惑星で2番目に小さい惑星です。
地球から見ると、最接近の頃でも、月の約77分の1の大きさにしか見えないほど、小さいです。
大きさ・重さともに、地球と比べて遥かに小さい火星。
ですが、似ている点が数多くあり、火星は「地球型惑星」とも呼ばれています(理由は後述します)。
公転周期
金星が、太陽の周りを一周するまでにかかる期間(公転周期)は、約687日。
約1年11ヶ月(約1.8年)で、太陽の周りを一周することになります。
地球の公転周期は1年なので、約2倍の時間をかけて太陽の周りを一周するということですね。
火星での1年は、地球での2年に相当します。
地球に似ている
地球と似ている点が数多くあり、地球型惑星とも呼ばれる、火星。
21世紀の現代では、火星を第二の地球とする動きが見られます。
地球が住めなくなった時のことを考え、第二の地球・火星に移住するための研究・計画が、多くの国・企業で進められていますよね。
火星と地球は、似ている点が数多くありますが、その中でも、つぎの3つの点が特に似ています。
- 自転の速度
- 四季の存在
- 惑星の構成要素
似ている点
① 自転の速度
一つ目は、自転の速度です。
自転速度(1日の長さ)は、地球とほぼ同じく、24時間39分。
地球より、たった39分長いだけです。
こちらはNASAの科学者が作成した、10天体の自転の様子をアニメーション化したものです。
地球とほぼ同じ速度で自転しているのがわかります。
② 四季の存在
二つ目は、四季の存在。
火星は、地球と同じく地軸が傾いている(約25°)ので、四季が存在します。
ただし、公転周期(1年の長さ)は地球の二倍なので、各季節の長さもそれに合わせて二倍になります。
火星では、春、夏、秋、冬が各6ヶ月ずつ訪れることになります。
③ 構成要素
三つ目は、惑星の構成要素。
火星は、地球と同じく岩石でできています。
これこそ、火星が地球型惑星と呼ばれる、主な理由でもあります。
火星には、地球と同じように、火山があったり、水が通ったような跡があったりもします。
過去には、海までも存在していたというから驚きです。
ただし、火星は地球に比べて重力がずいぶんと弱い(地球の38%しかない)ので、大気が宇宙空間に消えてしまい、それに伴って海も消滅したと言われています。
このように地球と似ている点が数多くあるのが、火星です。
地球との距離も、約7500万kmと、意外と近いです。
宇宙船で半年くらいで、火星に着きます。
(ちなみに、地球から一番遠い惑星である海王星までは、無人宇宙船で12年かかります。有人だともっとかかりそうですね)
なんだか、本当にそのうち移住できてしまいそうな気がしますよね。
でも、そう簡単にはいかないのが、宇宙です。
火星が地球と異なる点の中で、特徴的なのはつぎの2つ。
- 大気構成
- 地表温度
異なる点
① 大気構成
一つ目は、火星の大気構成。
火星の大気は、二酸化炭素(約95%)で、次いで窒素(3%)、アルゴン(1.6%)で構成されています。
地球の大気は、窒素(78.08%)、酸素(20.95%)、アルゴン(0.93%)、二酸化炭素(0.03%)。
大気の厚さも、火星の大気は地球の約1/160と、かなり薄くなっています。
大気が薄いとどうなるの?
もし、この地球に大気がなければ、太陽光がすべて宇宙に放出されてしまい、地球は極寒の星になるといわれています。
大気がなければ、地球は常時マイナス19°の世界になってしまうそうです!
② 地表温度
二つ目は、地表温度。
前述の大気の薄さもあり、火星の地表温度は、-143℃から35℃の間と、非常に寒いです。
地表面は、地球の砂漠と同じく、ホコリっぽく、乾燥しています。
そんな砂漠っぽい火星では、頻繁に砂嵐が起こります。
時速最大200kmもの、高速な砂嵐です。
しかも、数百日と続くのです。
住むにしては、なかなか過酷な環境ですよね…!
この砂嵐は、地球から望遠鏡で見ることもできるくらいです。
地球と似ていて、近い位置にある火星ですが、住むとなると、一筋縄ではいかなそうです。
まとめ
以上が、火星の天体としての特徴です。
火星は
- 太陽系惑星
- 地球の半分の大きさ・1/10の重さ
- 太陽を一周するまでに、約2年かかる
- 地球に似た天体「地球型惑星」
ということがわかりました。
夜空に赤黒く光り輝くことから、別名「赤い惑星」とも呼ばれる火星について紹介しました。
夜空に赤黒く光る火星の姿が、軍神・アレス(ローマ神話のマルスに相当、英語読みでマーズ)の姿を彷彿させたことから、現代まで火星=マーズという認識になっています。